Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
「わしの生命は強い。この大自然の中で山野に呼吸している者だ。――平家の生命は、組み立てられた第宅や人智の機構を力とし、しかもそれは腐えかけている末期のものだ。――暴風雨の中に立つ殿楼と、大自然の洞窟とのちがいだ。……勝てる! きっと勝てる。平家のごとき何ものでもない」
彼の意志は、もうこの伊豆界隈の三千や五千の平家を、敵とも数えていなかった。――幼な心に記憶している都の様を脳裡にえがいていて、そこの文化、そこの旧い勢力、そこに想い起されるあらゆる宿怨を、敵とみつめた。
「殿……。殿……」
誰か、洞窟の奥から呼ぶ。
が――滝つぼの中にいるような大雨の音である、翔ける風の声である。頼朝の耳には、聞えなかった。
また。
ふしぎにも、こよいは、頼朝にとって、山之木郷に火の手をあげて以来の心たのしい晩であった。瞑想の快楽も手伝って、風雨のたけびさえ耳から忘れていたのである。
バチャ、バチャ……と水のなかを四つ這いになって、誰か、奥から這い寄って来た。佐々木高綱であった。
「水が溜って参りました。お坐りになっている楯が、舟のように浸っております。もっと奥へお潜みなされませ」