Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
「云うなと申すに」
「……で、でも」
「政治には、私心を交じえず、人事には、一点の私情もゆるさぬというお示し。……いいことではないか。有難いお心だ」
「ではなぜ、あなた様は、あの時平御家人のように、歓び勇んで、大工棟梁へ馬が引けませんでしたのか。――二頭まで、馬を引きに、お起ちなされましたが、誰が目にも、あなたのお顔は蒼かった。惨として、泣かぬばかりなご様子であった」
「それはな吉次……」
云いかけて、義経は渇いた唇の顫えを歯でむすんだ。ともすれば今でもまた、あふれかけそうな瞼のものをそっと怺えて。
五
義経は、自分と兄とのあいだに抱きあっている珠のごときものを、傷つけたくない。――他人から壊されたくない。
珠とは。
兄弟のつよい愛である。骨肉の情である。
(この世に一人の兄あり!)
とは、鞍馬にいた頃から、また、足柄山を奥州へ越えてゆく頃から――それからの長い年月のあいだも、義経の胸にたえず醸されていた血液的な思慕だった。尊い珠玉だった。
「吉次」
「へい」
「おまえは、他人の眼で、また他人の感情で、ひとり無念がっているが、鎌倉殿と義経のあいだは、切れない血と愛情でつながっている兄弟だぞ」