Classici giapponesi con furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Leggi 照葉狂言 (てりはきょうげん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.730 caratteri · 100 schermate
柔かに冷き風呂敷のごときもの口に蓋するよと見れば、胸の血を吸わるるとか。幻のごとく軒に閃きて、宮なる鳥居を掠め、そのまま隠れ去る。かの酒屋の庫と、観世物小屋の間まで、わが家より半町ばかり隔りし。真中に古井戸一ツありて、雑草の生い茂りたる旧空地なりしに、その小屋出来たるは、もの心覚えし後なり。
興行あるごとに打囃す鳴物の音頼母しく、野衾の恐れも薄らぐに、行きて見れば、木戸の賑いさえあるを、内はいかにおもしろからむ。母上いませし折は、わが見たしと云うを許したまわず、野衾の居て恐しき処なるに、いかでこの可愛きもの近寄らしむべきとて留めたまいぬ。
亡き人となりたまいて後は、わが寂しがるを慰めむとや、伯母上は快よく日ごとに出だしたまう。場内の光景は見馴れて明に覚えたり。
土間、引船、桟敷などいうべきを、鶉、出鶉、坪、追込など称えたり。舞台も、花道も芝居のごとくに出来たり。人数一千は入るるを得たらむ。
木戸には桜の造花を廂にさして、枝々に、赤きと、白きと、数あまた小提灯に、「て。」「り。」「は。」と一つひとつ染め抜きたるを、夥しく釣して懸け、夕暮には皆灯すなりけり。