Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

Leggi 照葉狂言 (てりはきょうげん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.730 caratteri · 100 schermate

Aozora Bunko

三

(親ちゃん、)

とばかりはたと扇子落して見返りし、凄艶なる目の中に、一滴の涙宿したり。皆泣伏しぬ。迎の俥来たれば乗りて出でき。

可愛き児の、何とて小親にのみは懐き寄る、はじめて汝が頬に口つけしはわれなるを、効なく渠に奪らるるものかは。小親の牛若さこそとならば、いまに見よ、われ癒えなば、牡丹の作物蔽い囲む石橋の上に立ちて、丈六尺なるぞ、得意の赤頭ふって見せむ。さらば牛若を思いすてて、わが良き児とやならむずらむ。

と病の床に小親とわれと引きつけては、二人の手を取り戯れて、小親に顔赤うさせし愉快の女は、かくて手品師が人の眼を眩惑せしむる、一種の魔薬となり果てたり。

過去りしことありのままに繰返せば、いままのあたり見るに似たり。

小親と顔を見合せぬ。

「よく覚えておいでだね。」

いかでわれ忘るべき。

三

いかで忘らるべき。時々起る小親が同一病の都度、大方ならずわれは胸いためぬ。

殊に今は隣家にて、呀と一声叫びたまいし姉上の声の、覚えあるのみならず、猫の不意にも驚かされし、血の動きのなお止まぬに、小親また腕を痛めたれば、さこそわが顔の色も変りつらむ。

「姉さん、ほんとうに気を付けておくれ、またこの上お前が病気にでもなったらどうしよう。