Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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てりはきょうげん

照葉狂言

泉 鏡花

Leggi 照葉狂言 (てりはきょうげん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.730 caratteri · 100 schermate

Aozora Bunko

三

「ね、ほんとうでしょう……ですからさ。」とまた笑えり。

女房は微笑みながら、

「不可いよ。貢さんは何でもほんとにするから欺されるんだよ。この賑かなのに、何だってまた野衾なんかが出るものかね。嘘だよ、綺麗な野衾だから結構さ。」

「あら姉さん。」

「お止しよ。そんなこと謂って威すのは虫の毒さ、私も懲りたことが有るんだからね、欺しッこなし。貢さん、なに血なもんかね、御覧よ。」

中指のさきを口に含みて、やがて見せたる、血の色つきたり。

「紅さ。野衾でも何でも可いやね。貢さんを可愛がるんだもの、恐くはないから行って御覧、折角、気晴に行くのものを、ねえ。此奴が、」

「あれ。」

「あばよ。」とばかり別れたる、囃子の音おもしろきに、恐しき念も失せて、忙しくまた木戸に行きぬ。

能は始まりたり。早くと思うに、木戸番の男、鼻低う唇厚きが、わが顔を見てニタニタと笑いいたれば、何をか思うと、その心はかり兼ねて猶予いぬ。

三

「坊ちゃん、お入んなさい、始りましたよ。」

わが猶予いたるを見て、木戸番は声を懸けぬ。日ごとに行きたれば顔を見識れるなりき。

「どうなすったんだ。さあ、お入んなさい、え、どうしたんだね。