Classici giapponesi con furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Leggi 照葉狂言 (てりはきょうげん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.730 caratteri · 100 schermate
歩を攀ずる足のそれよりも重かりしよ。掻い撫ずる掌を、吸い取るばかり、袖、袂、太く夜露に濡れたり。
さて暗き樹の下を潜り、白き草の上を辿り行く。峰は近くなりぬ。
路の曲りたる角に石碑あり。蓮の花片の形したる、石の面に、艶子之墓と彫りたるなり。
貴き家に生れし姫の、継母に疎んじられて、家をば追われつ。このあたりに隠れすみて里の子に手習教えていたまいしが、うらわかくてみまかりたまいしとか、老いたる人の常に語る。苔深き墳墓の前に、桔梗やらむ、萩やらむ、月影薄き草の花のむら生いたるのみ。手向けたる人のあとも見えざるに、われは思わず歩を留めぬ。
あわれ広岡の、姉上は、われにいかなる女ぞ。小親をだに棄つれば救わるべきをと、いと強く胸を拍って叫ぶものあり。
草に坐して、耳を傾けぬ。さまざまのこと聞えて、ものの音響き渡る。脳苦しければ、目を眠りて静に居つ。
やや落着く時、耳のなかにものの聞ゆるが、しばし止みたるに、頭上なる峰の方にて清き謡の声聞えたり。
松風なりき。
あまり妙なるに、いぶかしさは忘れたるが、また思い惑いぬ。ひそかに見ばや、小親を置きて世に誰かまたこの音の調をなし得るものぞ。