Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
それから足を早めてここの門前へ来て、さっきから出入りを窺うていたとは知らぬか。さあ真っ直ぐに言え、白状せられい」と、実雅ははずむらしい息を努めて押し鎮めて、女の細い腕を揺すぶりながら訊いた。
「そう知られては隠しても詮ないこと。まこと今宵は左少弁殿と言いあわせて、法性寺詣でに忍び出たに相違ござりませぬ」
「むむ。相違ないか」と、大きいからだをふるわせて実雅は唸った。「お身は先月も兼輔めと連れ立って法性寺へまいったというが、確かにそうか」
それも嘘ではないと玉藻は答えた。しかしそれは隆秀阿闍梨の教化をうけたいために兼輔の案内を頼んだので、ほかには別に子細はないと言ったが、実雅は素直にそれは肯き入れなかった。現にこのあいだの花の宴にも、自分は彼と玉藻との密会を遠目に見ている。今更そんなあさはかな拵え事で、自分を欺くことはできまいと又あざ笑った。
「就いては、少将実雅があらためてお身に訊きたいことがある。お身が実雅の恋をきかぬ以上、あだし男に心をかよわすことはならぬ。もしその約束を破ったら、その男を生けては置かぬと……」
「それもよう覚えております」
実雅の手にすがって、玉藻はさめざめと泣き出した。