Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate

Aozora Bunko

殺生石

一

彼らはやはり五色に象った浄衣をつけていた。泰親の姿は白かった。落葉に埋められた円い古塚を前にして、祈祷は午の刻(正午十二時)から始められたが、それが息もつかずに夜まで続いたので、そこらには篝火が焚かれた。木の間へ忍び込む夜風にその火がゆれなびいて、五色の影を時どきに暗く隠すかと思うと、又明かるく浮き出させるのも物凄かった。警固の人びとも草も木も息をひそめて、このすさまじい祈祷の結果をうかがっているらしかったが、夜の亥の刻(午後十時)を過ぎた頃に、梢をゆする夜風がひとしきり烈しく吹いて通ったかと思うと、今まで黙っていた古塚が地震ようにゆらゆらと揺るぎ出した。

この時である。壇のまん中に坐っていた泰親は忽ち起ち上がって、ひたいにかざしていた白い幣を高くささげながら、塚を目がけて礑と投げつけると、大きい塚はひと揺れ烈しくゆれて、柘榴を截ち割ったように真っ二つに裂けた。

殺生石

一

その夜であった。

関白の屋形には大勢の女房たちがあつまって、玉藻の前を中心に歌の莚が開かれていた。あしたは十三夜という今夜の月は白い真玉のように輝いて、さすがに広いこの屋形も小さく沈んで見えるばかりに、秋の夜の大空は千里の果てまでも高く澄んで拡がっていた。