Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
二
叡山と三井寺の不和は多年の宿題で、戒壇建立の争いのためには三井寺の頼豪阿闍梨が憤死して、その悪霊が鼠になったとさえ伝えられている。その三井寺へ魔女の玉藻が参詣して、いかなる禍いの種を播こうとするのか。
しょせんは三井寺の僧徒を煽動して叡山に敵対させ、かれらを執念く啖い合わせて、仏法の乱れ、あわせて王法の乱れを惹き起こす巧みであろう。こう思うと、信西の嶮しい眉も食い入るばかりに顰んできた。
「彼女の悪業、いやが上に募ってまいっては、いよいよ油断がなり申さぬ」
「そうじゃ。まだこの上に何事をたくもうも知れぬ」と、頼長も奴袴の膝を強く掴んだ。「のう、入道。この上は重ねて七十日の祈祷などおめおめと待ってはいられまい。泰親にもその旨を申し含めて、早急にかれめを祈り伏する手だてが肝要であろうぞ」
この点に就いては、信西も勿論、同意であった。
「仰せごもっとも、それがしも肝胆を砕いて、一日も早く妖魔をほろぼす手だてを案じ申そうよ」
二
八月十一日は晴れていた。それでも先日の大雨以来、明るい日の色も俄に秋らしくなって、藍を浮かべたような湖の上を吹き渡って来る昼の風も、たもと涼しくなった。