Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
三
泰親は跳りあがってそのゆくえを見送った。
「あの幣の落つるところに妖魔は確かに封じられた」
あたかもこの日のこの時刻である。三浦と上総とは霰のなかで那須の篠原を狩り立てて、金毛の狐を射倒したのであった。三浦の黒い矢は狐の頸筋を射た。上総の白い矢は狐の脇腹を射た。その注進はわずかに五日の後、早馬を以って都に伝えられた。
播磨守泰親は再び面目を施した。しかし重ねがさねの心労で、彼はその後十日ばかりは病いの床についた。その間のある夕に、千枝太郎は看病の枕もとをぬけ出して行くえが知れなかった。病いが癒えてから泰親はそれを知って、溜息をつきながら弟子たちに言い聞かせた。
「彼はおそらく那須野へさまよって行ったのであろう。所詮かれの面にあやかしの相は消えぬ。救おうとしても救われまい。これも逃れぬ宿世の業じゃ」
弟子たちももう彼のゆくえを探そうとはしなかった。
三
「その狐は顔だけが雪のように白うて、胴体や四足の毛は黄金のように輝いて、しかもその尾は九つに裂けていたそうな」
四十前後の旅びとは額を皺めて怖ろしそうに語った。それを黙って聴いている若い旅びとは千枝太郎であった。