Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
三
白い鬚がまだらに伸びて、頬骨の悼ましく尖った顔に、窪んだ眼ばかりを爛々とひからせて、彼は玉藻の白い襟もとをじっと見つめていた。相手が執念深いので、千枝太郎はいよいよ急いた。
「ええ、退かれいというに……。ええ、放されい。放さぬか」
彼は相手の痩せた腕をつかんで、力まかせに引き放そうとしたが、命のあらんかぎりと掴んでいるらしい僧の手は容易に解けなかった。血気の若者は焦れてあせって、折れるばかりにその手を捻じ曲げて、無理にようよう引き放して、突きやると、力の尽きた老僧は枯木のようにばったり倒れた。玉藻はそれを見向きもしないで、急ぎ足に立ち去った。
僧は這い起きて又追おうとするのを、千枝太郎は又抱き止めた。僧は熱い息をふいて身をもがいているところへ、四、五人の若い僧が汗みどろになって追って来た。
「おお、ここにじゃ。どなたか知らぬが、かたじけのうござる」
彼らは千枝太郎に礼をいって、まだ哮り狂っている老僧を宙にかつぐように連れて行った。狂える老僧は法性寺の阿闍梨であった。
三
法性寺の阿闍梨がその夜、寺内の池に身を沈めて果てたということを聞いたときに、千枝太郎は又ぞっとした。