Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
采女
一
玉藻はおそろしそうに身をすくめた。
しだれた柳の葉は川風にさっとなびいて、雨のしずくをはらはらと振り落とすのを、千枝太郎は袖で払いながら又言った。
「現にきょうもじゃ。お師匠さまは雨具の用意してゆけと言われたを、近い路じゃと油断して、そのままに出て来ると直ぐにこれじゃ。ほんに思えばおそろしい」
「お前もその怖ろしい人にならるるのか」と、玉藻はあやぶむように男の顔をじっと見つめた。
「おそろしいのでない。まことに尊いのじゃ。わしもせいぜい修業して、せめてはお師匠さまの一の弟子になろうと念じている」
「それもよかろう。じゃが……」
玉藻はなにか言い出そうとして、ふと向こうを見やると、二つの笠を持った兼輔が河原づたいに横しぶきのなかを駈けて来た。
「おお、わたしの連れが笠を借りて戻った。千枝太郎殿、また逢いましょうぞ」
言う間に兼輔はもう近づいた。柳の雨に濡れて立つ美女を前にして、若い公家と若い陰陽師とは妬ましそうに眼をみあわせた。
采女
一
千枝太郎泰清は柳の雨にぬれて帰った。播磨守泰親の屋敷は土御門にあって、先祖の安倍晴明以来ここに年久しく住んでいた。
「唯今戻りました」