Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate

Aozora Bunko

二

強い妬みに燃えているような女の物凄い眼の光りだけが、千枝太郎の記憶に残った。

二

小源二から聴かされた不思議な話を、千枝太郎は途みち考えながら歩いた。衣笠に逢えなかったという失望もあった。その怪しい上臈が何者であろうかという疑いもあった。疑いはまずかの玉藻の上に置かれた。

三浦の門前で出逢った牛車のぬしは、どうも玉藻であるらしく思われた。たとい玉藻であるとしても、往来で人に逢うのは不思議でない。しかしそれが偶然のめぐりあいではないように千枝太郎には疑われた。その疑いをだんだん押し拡げていくと、ゆうべ衣笠をおびやかした怪しい上臈も、もしや玉藻ではないかという結論に到着した。

それにしても、玉藻はなぜ三浦の娘をおびやかそうとしたのか。しかも小源二の物語から想像すると、彼女の振舞いはどうしても尋常の人間ではないらしい。彼はさきの夜、犬の群れに取り囲まれた時の玉藻のおそろしい顔を思い出した。きのうの朝、陶器師の翁から聴かされた古塚参詣の怪しい女の姿を思い泛かべた。これらの事実を綜合してかんがえると、かの古塚のあたりにさまよっている女も、三浦の屋敷に入り込んだ女も、すべて玉藻ではあるまいかとも思われた。