Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
と、忠通も力なげに再び溜息をついた。
「神ほとけに奇特がないと仰せられまするか」
「論より証拠じゃ。いかに祈ってもひと粒の雨さえ落ちぬわ」
「それは神ほとけに奇特が無いのでない。人の誠が足らぬからかと存じまする」
「それもあろうか」と、忠通はうなずいた。「弟が兄をかたむけようと企て、味方が敵になる世の中じゃ。人に誠の薄いのも是非ないか」
玉藻は忠通をあおいでいる唐団扇の手を休めて、しばらく考えているらしかったが、あらためて主人の前に手をついた。
「唯今も仰せられました通り、あらゆる神社仏閣の雨乞いが少しも効験のないと申すは、世も末になったかのように思われて、神ほとけの御威光も薄らぐと存じられまする。さりとは余りに勿体ないこと。就きましては、不束ながらこの玉藻に雨乞いの祈祷をお許しくださりませぬか」
小野小町は神泉苑で雨を祈った。自分に誠の心があらば神も仏もかならず納受させらるるに相違ないと彼女は言った。なるほどそんな道理もあろうと忠通も思った。この玉藻ならばむかしの小町に勝るとも劣るまい。彼女の誠心が天に通じて、果たして雨を呼ぶことができれば世の幸いで、万人の苦を救うことも出来るのである。