Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
と、千枝太郎も言った。
「わたしがこのように夜歩きして、犬に悩まされたなどということを、誰にも言うて下さるな」と、玉藻は頼むように言った。
「おお、誰にも言うまい。このようなことがひとに知れたら、わしも叱らるるわ」
「お師匠さまにか」
千枝太郎はだまって月を仰いでいた。
「思えば不思議なものじゃ」と、玉藻は溜息をついた。「こうしてお前と親しゅうなりながら、お前のお師匠さまはわたしを仇のように呪うているお人、そのお弟子なりゃお前とわたしも仇同士、二人の行く末はどうなろうかのう」
千枝太郎も引き入れられるような寂しい心持になった。玉藻はまた言った。
「くどくも言うようじゃが、お前のお師匠さまは遅かれ速かれ破滅の身の上じゃ。宇治の左大臣殿がいかほど贔屓せられても、理を非にまぐることは出来ない。そのまきぞえを受けぬように能く心しなされ」
関白の屋形の門前で二人は別れた。千枝太郎が師匠の家へ戻り着いた頃には、夜もよほど更けていた。泰親はまだ眠らずに待っていたので、千枝太郎はすぐに師匠の前へ出て、今夜の使いの結果を報告すると、泰親は笑ましげにうなずいた。
「少納言の御芳志は海山じゃ。