Classici giapponesi con furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Leggi 玉藻の前 (たまものまえ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.703 caratteri · 261 schermate
三浦の娘
一
と、千枝太郎は追従でもないらしく言った。
「そう存じたら、念を入れて仕まつれ」と、家来は直垂の袖で鼻をこすった。
坂東武者も初の上洛に錦を飾って来たとみえて、その直垂には藍の匂いがまだ新しいようであった。
三浦の娘
一
そのときに三浦の家来はこういうことをも自慢そうに話した。
主人三浦介の孫娘に衣笠というのがある。自分の代々住んでいる城の名を呼ばせるくらいであるから、その寵愛はいうまでもない。ことし十六で相模一国にならぶかたもない美女である。祖父の義明がこのたびの上洛について、可愛い孫娘にも一度は都の手振りをみせて置きたいという慈愛から、遠い旅をさせて一緒に連れて来たが、なるほど花の都にもあれほどの美女は少ない。自分も主人の供をして、毎日洛中洛外を見物してあるいているが、衣笠殿ほどの美しい女子に殆んど出逢ったことがない。当時都で噂の高い玉藻の御というのはどんな人か知らないが、おそらくそれにも劣るまいとのことであった。
田舎侍の主人自慢はめずらしくない。しかしその話を半分に聴いても、三浦の孫娘がすぐれた美女であるらしいことは千枝太郎にも想像された。年の若い烏帽子折りはその美しい相模おんなを一度見たいような浮かれ心にもなった。