Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

「しさいあり気な女子じゃ。なんの願いか聞いて取らせる。これへ呼べ」と一同を制止した。

うるわしいお下髪にむすび、帯のあいだへ笛をはさんだその少女は、おずおずと、梅雪の駕籠の前へすすんで手をついた。

「訴えのおもむきをいうてみい。また、このようなさびしい広野に、ただひとりおるそちは、いったい何者の娘だ」

「野武士の娘、咲耶子ともうしまする。お訴えいたすまえに、おうかがいいたしたいのは、うしろの鎖駕籠のなかにいるおかたです。もしや武田伊那丸さまではございませんでしょうか」

「それを聞いてなんとする」

梅雪はおそろしい目を咲耶子の挙動に注ぎかけた。

けれど彼女は、むじゃきに咲いた野の花のよう、なんのおそれげもわだかまりもなく、あとのことばをさわやかにつづけた。

「まことは、まえに伊那丸さまから、ご大切な宝物とやらを、父とわたくしとで、お預かりもうしておりましたが、そのために、親娘の者が、ひとかたならぬ難儀をいたしておりますゆえ、きょう、お通りあそばしたのを幸い、お返しもうしたいのでござります」

「ふーむ、して、その宝物とやらはどんな物だ」

「このさきの、五湖の一つへ沈めてありますゆえ、どんな物かはぞんじませぬが、このごろ、あっちこっちの悪者がそれを嗅ぎつけて、湖水の底をさぐり合っておりまする。