Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
五
このぶんでほっておいたら、かならずや、夜が明けるのも知らずに寝ているにちがいない。
ところが、好事魔おおし、せっかくの白河夜船を、何者とも知れず、ポカーンと頬っぺたをはりつけて、かれの夢をおどろかさせた者がある。
「あ痛ッ、アた、た、た、た!」
ねぼけ眼ではねおきた竹童は、むちゃくちゃに腹が立ったと見えて、いつにない怒りようだ。
「おいッ、おいらをぶんなぐったのは、いったいどこのどン畜生だ、さアかんべんできない、ここへでろ、おいらの前へでてうせろッ」
あまり太くもない腕をまくりあげて、そこへしゃちこ張ったのはいいが、竹童、まだなにを寝ぼけているのか、そこにいた人の顔を見ると、急にすくんで、膝ッ子のまえをかきあわせ、ペコペコお辞儀をしはじめたものだ。
「竹童、おまえは大そう強そうに怒るな」
「はい……」
「どうした。おいらの前へでてうせろといばっておったではないか。なぐったわしはここにいる」
「はい、いいえ……」
「不埒者めがッ」
なんのこと、あべこべにまた叱られた。
もっとも、それはべつだんふしぎなことではない。いつのまにか、ここにきていた人間は、竹童が小太郎山にいることとばかり思っていた、果心居士その人だったのだ。