Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
みわたせば、いつのまにやら、徳川三千の軍兵は、裾野半円を遠巻きにして、焔々たる松明をつらね、本格の陣法くずさず、一鼓六足、鶴翼の備えをじりじりと、ここにつめているようす。
また、人穴城では、いまの敗北をいかった呂宋兵衛がこんどはみずから望楼をくだり、さらに精鋭の野武士千人をすぐって嵐のごとく殺到した。
ひゅッ! ひゅッ!
と早くも、闇をうなってきた矢走りから見ても、徳川勢の先手、亀井武蔵守、内藤清成、加賀爪甲斐守の軍兵はほど遠からぬところまで押しよせてきたものとおもわれる、その証拠には、伊那丸の陣した、雨ヶ岳のうえから噴火山のような火の手があがった。
三河勢が火をかけたのである。
その火明かりで、梵天台にみちている兵も見えた。まぢかの川を乗りわたしてくる軍馬も見えはじめた。裾野は夕焼けのように赤くなった。
「若君、いよいよご最期とおぼしめせ」
小幡民部が、天をあおいでこういった。
「覚悟はいたしておる。わしはうれしい、わしはうれしい!」
「おお、おうれしいとおっしゃいまするか」
「野武士ずれの呂宋兵衛をあいてに討死するより、ただ一太刀でも、甲斐源氏の怨敵、徳川家の旗じるしのなかにきりいって死ぬこそ本望、うれしゅうなくてなんとするぞ」