Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

「ウーム……」

と、打ったおれた泣き虫の蛾次郎は、脾腹をおさえてフンぞったとたんに、昼間のうち胃袋を楽しませたご馳走をのこらず口から吐きだして、厩のまえにへたばってしまった。

馬は、見むきもせず、われ関せず焉と、かッたるそうに目の皮をふさいでいる。

――更けてくると、祭の夜も寂としてものさびしい。

一陣の山嵐が、鞍馬山の肩あたりから、サーッと冷気をふり落としてきたかと思うと、八神殿の冠桜の下あたりに――竹童のお師匠さま果心居士のすがたが、めずらしくもほのかに見えたのである。そして、もくもくとして裏宮のほうへ杖をひいていった。

果心居士と愛弟子

一

右手に、名刀般若丸を、ひだりの手では、地や蜘蛛の巣をなでまわしながら、ソロリと、八神殿の床下をはいだしてきた者がある。

それはさっき、泣き虫の蛾次郎に、さんざんな悪口や揶揄をなげられていた盲の少年――鞍馬の竹童。

あたりをさぐって、そとにでれば、夜は四更の闇ながら、空には、女菩薩たちの御瞳にも似る、うるわしい春の星が、またたいている。

鳥の巣のようなかれの頭、土にまみれた肩や肘、そして、血のにじんだかれの素足――。