Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

「かたじけない」と、ふたりが岸へ飛びあがると、

「あ、お待ちください」とあわててとめた。

「子之吉、いつかはまたきっとめぐりあうであろう」

「いえ、それより、どっちへお逃げなさるにしても、この濠端を、右にいってはいけません。お城固めの旗本屋敷が多いなかへはいったら袋のねずみです。どこまでもここから、左へ左へとすすんで、入野の関をこえさえすれば、浜名湖の岸へでられます」

「や、ではこの先にも関所があるか」

「おあんじなさいますな、ここに蓑と、わたくしの鑑札があります。お姿をつつんで、これをお持ちになれば大じょうぶです」

子之吉は、下からそれを渡すと、岸をついて、ふたたび、筏を濠のなかほどへすすめていったが、にわかに、どぶんとそこから水けむりが立った。

「ややッ」と、岸のふたりはおどろいて手をあげたが、もうなんともすることもできなかった。

子之吉は、筏をはなすと同時に、脇差をぬいて、みごとにわが喉笛をかッ切ったまま、濠のなかへ身を沈めてしまったのである。後日に、徳川家の手にたおれるよりは、故主の若君のまえで、報恩の一死をいさぎよくささげたほうが、森子之吉の本望であったのだ。