Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
空をやく焔は、かれのひとみに、生涯わすれぬものとなるまでやきついた。すると、不意だった。
いきなり、耳をつんざく呼子の音が、するどく、頭の上で鳴ったと思うと、かなたの岩かげ、こなたの谷間から、槍や陣刀をきらめかせて、おどり立ってくる、数十人の伏勢があった。それは徳川方の手のもので、酒井の黒具足組とみえた。忍剣は、すばやく伊那丸を岩かげにかくして、じぶんは、鉄杖をこわきにしごいて、敵を待った。
「それッ、武田の落人にそういない。討てッ」
と呼子をふいた黒具足の部将は、ひらりと、岩上からとびおりて号令した。下からは、槍をならべた一隊がせまり、そのなかなる、まッ先のひとりは、流星のごとく忍剣の脾腹をねらって、槍をくりだした。
「おうッ」と力をふりしぼって、忍剣の手からのびた四尺余寸の鉄杖が、パシリーッと、槍の千段を二つにおって、天空へまきあげた。
「払え!」と呼子をふいた部将が、またどなった。
バラバラとみだれる穂すすきの槍ぶすまも、忍剣が、自由自在にふりまわす鉄杖にあたるが最後だった。藁か棒切れのように飛ばされて、見るまに、七人十人と、朱をちらして岩角からすべり落ちる。