Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
てまッすぐに走っている。
「やッ?」
とたんに、射手の山県蔦之助は、弦をはなした右手をそのまま、サッと顔色をかえてしまった。
耳を聾せんばかりのどよめきが、土用波のように見物人をもみあげた。なにかののしるような声、嘲笑するようなわめき、それらが嵐のごとく、かれをとりまいた心地がした。
「遠矢一本試合、徳川家加賀爪伝内どのが的をとったり!」
と、鐘巻一火は検証の床几からさけんだ。
意外。
蔦之助は敗れたらしい。
今為朝の矢はどうしたか? あのたしかな代々木流の矢がどうして狂ったのであろうか。
二
鐘巻一火の叫んだのは、けっして不公平でもうそでもなかった。加賀爪伝内の切ってはなった黒鷹の石打羽の矢は、まさしく、白鳥の峰の大鳥居の額ぶちに刺さっているのに、それにひきかえて蔦之助の射た妻羽白の矢は弓勢が弱かったため、谷間の気流をうけてそれたのか、あるいは弦切れの微妙な指さきに、なにかのおちどがあったのだろうか、とにかく、白鳥の峰へとどかぬうち、霧のごとく影を消して、どこへ落ちたかそれていったか、肉眼では見えなくなった。
お小姓とんぼ組をはじめ、徳川方の者とそれに心をあわす溜り場では、わッといちじに凱歌をあげた。