Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
ねらいは定まッた。
火縄の火がチリチリと散ったせつなに、蛾次郎の指さきは、すでに、短銃の引金を引こうとした。
とたんだった。
「わッ」
と、蛾次は短銃をおッぽりだして、自分の顔をおさえてしまった。そして、ベッ……と顔をしかめながら突ッ立った。
なにやら、甘酸ッぱいものが、かれの顔じゅうにコビリついて、ふいてもふいてもしまつがつかない。
――どこから飛んできたものだろうか、熟柿のすえたのが、顔の真ン中で、グシャッとつぶれた。
柿の目つぶし!
「ちくしょう、猿のいたずらだな」
と蛾次郎は、いまいましく思ったが、まごまごしていると火縄の火がきえる。
かれは、またあわてて短銃を取りなおした。
そして、
「こんどこそは!」
と、立ちがまえにねらいをすまして、ズドンと火ぶたを切ってはなそうとしたが、その一せつな、山毛欅の洞穴から跳びだしたひとりの怪人が、電火のごときすばやさで、かれの胸板を敢然とついてきた。
不意をくッて、
「あッ――」
と、よろめいた蛾次は、むちゅうで、相手のえりがみをつかむ。
かれの手がつかんだのは、やわらかい獣の毛だった。怪人は猿の毛皮をかぶっていた。