Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

四

四

「これはいったいどうした事だ!」

庄三郎の心持ちは、この一語に尽きていた。何が何んだか解らなかった。ただ身に逼る危険を感じた。だがそのうちに解って来た。解ると同時に彼の心は恐怖を感ぜざるを得なかった。

弁解しようと決心した。

彼は石像の台石の上へ、球のように飛び上がった。

「違う!」

と彼はまず叫んだ。「纐纈城主の部下ではない! 俺はこれでも武田家の家臣だ! 土屋庄三郎昌春だ!」

不幸にも弁解は聞かれなかった。

聞かれないのが当然であった。

咒詛と嘲笑と怒号との間に、彼の声は葬られた。

そうして台石から引きずり下ろされた。

「掟通りに、掟通りに!」

群集はとうとうこう叫んだ。庄三郎の運命は決定された。掟通りに処刑されなければならない。

うらうらと空は晴れていた。そこでは雲雀が啼いていた。そうして片雲が帆走っていた。絹糸のような水蒸気に漉され、油のように質の細かな、午後三時頃の陽の光りは、屋根や往来を照らしていた。

そうして子供だちははしゃぎ廻わり、犬や、猫や、鶏は、各自の声で唄っていた。

家々の窓や門口では、年を取った人達が、不安そうに話し合っていた。