Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
四
鴨はひどく痩せていた。
一所に野茨の叢があった。五月が来たら花が咲こう。今は芽さえ出ていなかった。ただ穢ならしく塊まっていた。
草の芽が顔を出していた。
甚太郎は宛なしに歩いて行った。
行手に茅萱の斜面があった。
数頭の馬が草を食んでいた。骨と皮ばかりの痩せ馬であった。どこかの戦場から逃げて来て、ひとりで生活きている馬らしかった。
「ワーイ」と甚太郎は声を上げた。馬は横眼で彼を見た。それから一散に逃げて行った。
甚太郎の声は木精を起こした。「ワーイ」と声が返って来た。
甚太郎は茅萱の斜面を越した。と、灌木の野があった。一所に焚火の跡があった。錆びた刀が落ちていた。
尚彼は歩いて行った。
行手に狼井の跡があった。穴の中は暗かった。底に白い物がちらばっていた。それは人間の白骨であった。
尚甚太郎は歩いて行った。
南向きの丘があった。
花毛氈が敷き詰められていた。蓮華草と蒲公英との毛氈であった。
甚太郎はゴロリと寝た。
空は海のように拡がっていた。水蒸気を含んでいるからであろう、ぼんやりとして低く見えた。諸所に斑点があった。斑点はゆるゆると動いて行った。