Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Leggi 黒田如水 (くろだじょすい) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.639 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

そこにも手具脛ひいて伏せていた者がある。躍り立つがはやいか、むずと官兵衛へ組みついてくる。

死力でふりほどいた。梁の揺れるような屋鳴りがした。彼を投げつけたが、官兵衛も共に勢いよく仆れたのである。すかさず、四、五人の武士が体当りに乗しかかって来た。官兵衛の二本の脚は、少なくも四回か五回それらの敵を蹴とばしていた。しかし益なきことを彼はすぐ覚っていた。たちまちその部屋は壁もふすまも見えないほど、荒木家の家士と刃で埋められていたからである。

「どうするのだ、それがしを」

官兵衛は坐り直した。もちろんその両腕はすでに荒縄で後ろ手に縛られている。畳で摺った頬骨の擦り傷から血がふいていた。

「お起ちなさい。われらは存ぜぬ事、ただ主命に依ってお連れする」

「そうか。摂津守のいいつけか」

これだけをいい放つと、彼はもう何もいわず唯々として、曳いて行くところへ曳かれていった。

ここは城楼の上ではなかったが、導いて行く道は、暗い階段を二度も降りて行くのであった。官兵衛はすでに、自分の血を自分で嗅ぐような予感と、そそけ立つ髪の根の寒さを如何ともし難かった。一歩一歩、階を降りつつ、彼は自嘲を抱いていた。