Classici giapponesi con furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Leggi 黒田如水 (くろだじょすい) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.639 caratteri · 325 schermate
二
「……?」
彼女は両手で一面の身はそこに貼りつけたまま、顔だけでわが肩越しに振り向いた。池の面は何事もない。ただ夜風のさざなみを湛えた中に小さい波紋をのこしていただけだった。
「……官兵衛さま、お目にかかれば、もっともっと、お伝えしたい事がございます。お伝えしたい事ばかりでございますが」
どぼんと、今度は前より大きな水音がした。方向は少し違っていたが、彼女の横顔にまで水がかかった。
お菊はその眼を何気なく池の向う岸へ向けた。そのとたんに血のいろを失った真白な顔とその肩をわなわなと顫わせて、急に、そこから逃げ去ろうとするもののように、眼は足もとを見まわした。
二
いかにせん、さあといっても、急に逃げ走れる場所ではなかった。
池の向う岸には、いつのまにか見張りの城兵が来ていたのである。木蔭に立って、さっきから彼女の挙動に目をそそいでいたものらしい。
「どうしてあんな所へ渡って行ったか。何しても官兵衛に対して何か目的を抱いている女にはちがいない。――おい、おい。その蘆刈舟でよいではないか。一棹突いて、それへ女を乗せて来い」
部将らしい者のさしずだった。まもなく二人の兵が、小さい朽木船の棹をついて、こなたへ渡って来た。