Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Leggi 黒田如水 (くろだじょすい) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.639 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

質子

一

信長は床几を離れて、まだ漆の香のする欄階を先に降りて行った。

質子

一

年をこえた天正五年、信長の朱印は、小寺家へ対して正式に、質子を求めて来た。官兵衛に対しては、秀吉から私信で、あらかじめその事ある旨を伝えて来ていたので、当然としていたが、主家の小寺政職は、

「どうしたらよいか」

と、この程度の問題に当っても、困惑を面にあらわして衆に諮るのであった。

もちろん一族と重臣のうちに、今なお織田家との盟契をよろこばない空気があるにもよるが、もう一つの理由には、小寺家の嫡子氏職が、病弱な上に、不肖の子で、世間に出せない者だ――という点にも、親心の苦痛があった。

「ご心配に及びませぬ」

評議の席で官兵衛は、いつもながらの口調で広言した。

「氏職様のお弱いことは、かねて羽柴殿のお耳へも入れた事がある。病人たりと差上げよとは信長公もよも仰せられますまい。――ご嫡子に代えてそれがしの一子松千代、まだ当年十歳ですが、あれを人質に送りましょう。松千代を以て、ご用に代えますれば、決してこの儀に就いては、ご心痛にはあたりません」

彼の広言は、常に、空言ではなかった。わが子を以て主家の子に代えるという事は、少なからず居合わせた人々を感動させた。