Classici giapponesi con furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Leggi 黒田如水 (くろだじょすい) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.639 caratteri · 325 schermate
四
村重はあわてて面を振りながらその顔色をごまかした。
「於菊はもう先へ行っておる。老臣たちの群れに加えて」
「うそでしょう」
彼女はなかなか信じなかった。村重のまずいことばで、それを信じこませるまでには、一刻の余もかかった。そのうちに、夜は初更をすぎた。庭の闇に、一かたまりの人影が、ひそかに佇んで、村重の立座をうながした。
その夜の従者は、わずか六、七名の小人数だった。この人々が身辺に来ると、室殿にはもう何の文句も苦情もいわせなかった。なぜならばみな悲壮極まる顔つきして、その眼は殺伐にみちていた。村重にたいしてはずいぶん駄々をこねる室殿ではあったが、こうした家臣の武者たちに囲まれると、さすがにわなわな歩みも顫え、ふかく被衣をかぶった横顔も、さながら夕顔の花みたいに白かった。
四
「殿がおらぬというぞ」
「なに。いないとは、どこに」
「この城に」
「ばかな」
「いや、ほんとだ。昨夜、ひそかに、搦手から出て、花隈城へお移りあったという」
「まったくか。それは」
「老臣の池田和泉どのから、たった今、慥と聞いた」
「何たること!」
諸士は地に唾をして、宿老たちのいる所へ押しかけて来た。