Classici giapponesi con furigana
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くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Leggi 黒田如水 (くろだじょすい) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.639 caratteri · 325 schermate
戸板
一
戸板
一
「歩く。自分で歩く。……放せ」
官兵衛はいった。そして起ち上がった。ふしぎな気力である。肉体の活動とはいえない。
しかし数歩にしてすぐ蹌めいて仆れかけたのはぜひもない。脚も手も、節のみ高い竹竿のような体である。
「あ、あぶない」
前へ廻って、栗山善助がわが背を向けて屈みこんだ。
「殿。善助が負い参らせて、ご城外まで一気に駆け脱けまする。お縋り下さいませ」
官兵衛の細い手が、善助の胸へまわってつかまった。芋殻を負うて立つような軽さである。善助は、戦友の太兵衛、久左衛門をかえりみて、
「では走るぞ。殿を見失わぬよう、前後のご守護をたのむ」
獄中はもう黒白も分かたぬ黒煙であった。打ち壊した牢格子のあたりもすでに火焔で塞がっている。母里太兵衛はさきに用いた角木材でふたたびそこを大きく破壊した。
すさまじい音と渦まく火の塵を潜って、栗山善助は勢いよくそこを駆け抜けた。――と思ううしろで、衣笠久左衛門が、
「於菊どのっ。――於菊どのが見えん。於菊どのっ」
と、熱風の中に立って、捜し求めている声がした。
思わず、善助も足を止めて、
「外ではないか。あの窓の下ではないか」