Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
……誰か向うから駆けて来やがった」
「成程……だが犬じゃねえようだが」
「何処かで見たような男だぜ」
「誰か探しているんじゃねえか。ふらふらしながらこっちへ来る」
枯れ柳の蔭に身をかわして、通る男をやり過ごそうと見ていると、それは、少し度を失った様子で、眼色を変えてよろけて来たお人好しの率八でした。
四ツ目屋の新助は吃驚して、
「やっ、あいつは率八だ。オイ、率八じゃねえか。率八、率八」
呼び止める声に、駈けて来て、
「おっ……四ツ目屋の」
「叱ッ」
「オオ雲霧の兄哥もここに……」
「静かにしろッて言うのに、わからねえ奴だ、どうしたんだその態は?」
肩を叩かれてそう訊かれると、率八は、クスッと一つ肩でしゃくり上げて、遂にワッと手放しで泣き出しました。
新助と仁三は驚いたり慌てたりして、
「やいやいやい。泣く奴があるか、泣くやつが?」
こんな所へ捕手でも来られては――と四辺を見廻して、大急ぎで、率八を柳の下にしゃがみ込ませる。
「ばか野郎め。大きななりをしやがって、人の面を見る途端に、ベソをかく奴があるものか。泣いていたんじゃ話が分らねえや、一体何がどうしたんだ、ハッキリと口を利きゃアがれ」