Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
いいつけると、一方も、
「心得ております」
と、すでにその気で、手捕りにしようとするものらしく、先の足許へそろそろと蟇のように這い詰めて行く。
相手は進退に窮しています。
うしろは松や楓の林です。低い灌木の枝が手をつないで拒止している。一方の横は乱岩叢竹、作兵衛滝の水がその下を通っているのです。
前には、手に唾して寄って来る挾撃の敵二人。――どうすることも出来ません。
「柳営の者か、外から忍び込んだ賊か、名を言え、名を申せ、次第に依ってはゆるして遣わさぬものでもない」
念のために、万太郎がもう一応こう言ってみましたが、相手が立ち竦んだまま返辞もせぬので、さてこそ、愈うさんくさい曲者と、いきなり相手へ向って飛びかかりました。
「あっ、若殿!」
先を制せられて、金吾が思わずこう叫んだのは、あながち敵に怯んでいたわけではなく、その時、幹の蔭から白い光が水を振るように走ったので、無手の暴虎を危ぶんだのです。
案のごとく万太郎は、相手を優形と見くびッて、手捕りにする気でかかりましたが、ハッと気がついて途中からさらにうしろへ飛び回って、
「おのれ」
と、自分も柄を鳴らして鯉口をのばしました。