Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「若殿」
そッと袖をひいて知らせる金吾に、返辞もなく、万太郎は、
「ウーム、お蝶だ……」
茫然たるばかりでした。
「万殿、曲者は法によって、役人の手に処分を委すが、それで御異存はなかろうな」
吉宗のことばのうちに、すでに中坊陽之助は先に立って、縛についた切支丹のお蝶を本丸から不浄門へと運び去って行く。
しかし、吉宗はまだ寝所へは戻りません。武者溜りとよぶ望楼下の大床の間に床几をすえて、次々に来る、吹上の報告を待っています。
すでに四更を感じる時刻です。
一番鶏がどこかで鳴く。
「どこに姿を隠したものか、日本左衛門の姿は一向見当りませぬ」
――最後の報告は吉宗を失望させました。しかし、石神堂の間道もあのとおり塞がせてありますから彼に翼のない以上、ふたたび江戸城の外へ逃げ出す気づかいは絶対にない。
彼は、注進の侍に、わざと声を激しくして、
「腑甲斐ない旗本どもである、水野弥一兵衛は何をしておる、長坂血槍九郎はおらぬのか、土屋、本田、近藤のともがら、常に武をほこる者たちが寄って、ただ一人の鼠賊を捕え得ぬという法やある。早く行ってそう申せ、そち達の手や才覚にあまるならば、自身吉宗が出向くであろうと」