Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「やっぱり留守じゃありません、お粂さんは裏の方にいるようなんで、それに、変な物音が……」
導いて行こうとすると日本左衛門は、何思ったか、反対の方へ五、六歩急いでお人好しの率八をうしろに見顧り、
「おれは帰る、お粂にあれだけを耳打ちしてやってくれ」
ただ一言。
ぽかんと、口を開いている間に、その姿は抜け道へ外れてしまったので、率八は仕方なく裏へ廻って勝手の腰障子を、
「姐御!」
と、前の調子で力強く手にかけると、こんどは勢いよく開け過ぎて、あぶなく流しの前へ逆とんぼを打つところでしたが、それよりもあッと驚いたのは、板の間で今や組ンずほぐれつの落花狼藉。
お粂を下にねじ伏せた馬春堂が、相手の胸元へ短刀を擬している。その光が率八の眼の玉へいきなり飛びこんだから堪りません。
「野郎!」
というと有り合う獲物、何をつかんだか自分でも分らず、飛び上がるなり馬春堂の頭の上からザーッと手桶の水をおんまけて、
「姐御に向って何をしやがる」
不意を食った馬春堂が下へころげ落ちたところを、手にふれた火消壺をたたきつけ、騎虎の勢いはなお余って、薪や十能や火吹竹など手当り次第に投げつける。