Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「ほう、紛失物? ……また、御家来の安否とな……それは御心配なことで、イヤ、よろしい」

と馬春堂。

売卜先生は型の如く、早速、筮竹をとりあげて一本を端へのぞき、四十九本をザラリと押しもんで扇形にひらくと、思念の眼を伏せて額にあて、伏義文王周公の呪文をぶつぶつ念じ出しましたが、するとそこへ、

「――お待ち遠さま」

うしろの日月の幕の間から、顔を出したそば屋の出前持ち、けんどん箱の中からあたたかそうな丼一個と、風邪の一服ぐすりとを取り出して隅の方へおき、客と見てそのまま首を引っ込めました。

パチ、パチ、パチ、パチ……

略筮を立てて算木をかえし、馬春堂はうしろへ忍びこんだうどん掛けが、あたら冷えることを頭の一部で惜しんでいる。

万太郎は床几をすり寄せて、

「卦面はなんと出ましたな」

「さらば……」と馬春堂、しかつめらしく机をにらんで、

「ウウム、お案じなさることはあるまい、凶兆はあるが、また一道の吉兆も見える」

「では、家来金吾の身にも、まだ別状はござらぬな」

「いいや、そうもいえませぬて。つらつら卦面によって判じますに、こりゃその人が婦女の術中に墜ちて苦しまれている。