Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「ヨハン」

くずれるように、二官は榎の根元へ腰を落として、

「もういってくれるな。それよりは、久しぶりで、羅馬の思い出話でもしようじゃないか」

「おれは責める! 責めずにはおくものか。二官、貴様はなぜ神を売った、なぜ幕府の手に乗ってころんだか」

「お前が責めなくとも、わし自身が、明け暮れひとりで責めている。妻を持ったためにも、子を持ったためにも、それは当然だろうけれど、人にいわれない苦悩が、現在、わしの上にむくいとなって現われているのだから……」

「その苦しみは当然だろう」

ヨハンは鉄窓の間から、小気味よげに二官のもだえを冷視して、

「これだけいえば、わしも胸がすいた。ころびばてれん! もう用はないからあッちへ行け」

と、唾を吐くようにいい捨てる。

「ひどい! ヨハン殿、それはあんまりひど過ぎる」

二官が色を変えて鉄格子につかまると、

「けがらわしいッ、そんな泣き言をならべたところで、わしには何の同情も持ち合せない。わしは羅馬の民にかわって、お前を存分に恥かしめただけの話だ」

「羅馬……」二官は鉄窓に両手をかけたまま、祖国の名を呼んで、男泣きに肩をふるわせました。