Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
お蝶は顔を上げて、父の手に抜かれている刃を見ました。
「逃げると許さんぞ、逃げると」
ジリジリと二官は膝をにじらせて行きましたが、お蝶がわるびれもせずに、甘んじて父に襟元をつかませたまま、ジッと目をふさいでおりますから、
「おのれは……」
と、切ッ先を向けようとした二官の狂わしさも、多少張合いを失って、ただ殺そうとして殺し得ない愛憎の白刃が、泣くように光をふるわすのみであります。
「取乱すなよ、わしも死ぬ。そしてお前も刺し殺してゆく」
お蝶は澄みきッた顔を、すごい程青白くしてこそいますが、ちッとも、取乱してはおりません。むしろ、こうつき詰めて来た今の瞬間では、二官よりも遙かに冷静です。
「なぜ死ぬんですか……なぜ私をお父さんは殺そうとなさるの?」
「わ、わからないのか、親の心が」
「わかりません。わたしは、お父さんに殺されるようなおぼえがないんですから」
「おまえは美しい悪魔だ」
「ええ、そうかも知れません――」お蝶の口答えは自棄になって、
「ころびばてれんの娘ですからネ」
「ちッ、わしに向って、よくもそんな口を!」と、ふたたび彼の気がたかぶると、押し揉まれるほどお蝶の顔色も真ッ青にさえて、