Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「浅ましい人間!」
ヨハンは自分の主人ながら、その卑劣さをいきどおろしく感じて、ひたすら、面と向って言葉を交わす日を、今に今にと待ちかまえていたのです。
「私は、その鬱憤を投げつけました。二官殿の死は、わたしの毒舌が殺めたも同様……お蝶様、ゆるして下さい」
ヨハンは声をすすッて泣き入りました。そしてまたお蝶に力をこめていうようには、
「この上は、二官殿の遺志をついで、夜光の短刀を探しだす者は、あなた以外にないことになりました。――お蝶さま! あなたはこの山屋敷をお逃げなさい。そして夜光の短刀をたずね出して羅馬の都へお立ちなさい。羅馬はあなたの祖先の国、そこには、主なき王家の財宝と幸福が待っています」
一句一句、ヨハンが胸の秘密を解いてしぼり出すようなことばに衝たれて、お蝶も、ジッと首をたれて聞き入りましたが、
「だって、それを探すといっても私には……」とためらい顔です。
「いいや!」
ヨハンは強く首をふる。
「そんなむずかしい事ではありません。それにあなたはどう見ても日本の娘、どこを歩きさまようても、怪しまれぬのが何よりです。――教えましょうお蝶様、さ、教えましょう」