Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「いや、待ってくれ」
初めて、敢然と口をひらくと、その顔色に驚いて釘勘が、
「お怒りなすっちゃ困ります、どうか、御立腹ないところで」
「なんの怒ってよいものか。しかし釘勘。いかにも拙者は武士として、終生ぬぐわれぬ不覚を踏んだには相違ないが、決して、お粂の色香におぼれて主家を忘れたわけではない」
「分っております。失礼ながら、その御本心を買っていればこそ、あっしは自分の役目がらを忘れてまで、こうして万太郎様のお言伝を」
「待て、今のそちのことばでは、深い事情までは分っていない」
と、金吾はやや興奮して、盗ッ人市の晩、真土の黒髪堂の前で日本左衛門のために思わぬおくれをとって気を失なったこと、また、それからお粂の家へ助けられて以来、ふしぎな業病をなやみ通しで今日に至ったまでのことを、一息に語りつづけますと、釘勘はさもあんめりとうなずいて、
「その通りです。だからあっしはなぜあなたが早く気がついて、たとえどういう手段をとっても、お粂の家から出ないのかと、それがふしぎにも思われましたし、また歯がゆくってならなかったんでございます」
「そうは申すが、お粂とても拙者にとれば、かりそめならぬ命の恩人じゃ」