Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「ようがすか、話の眼目は、それからなんで」
釘勘は、ここで一だんと力をいれ、
「そこでこの滅多にない品物を、どこで手にいれたかというと、あなたもお忘れはありますめえ、音羽の護国寺前、筑波屋いう旅籠の二階で、惜しいことには一足ちがいで、あの晩そちらは、お粂と二挺駕で旅へ夜立ちと出かけたあと、入れちがいにあとの部屋で、ひょいと見つけたのがこのビードロです。空だと思って、うっかり鼻へでも持っていったひには、それこそ、あっしもあの時たれかと同じ病気をやっていい心もちになっちまうところでさ。……物騒物騒、もうくどい話をしなくってもおよそ見当がつきましょう、思えばお粂という女も、情が深いだけあって、ひどい親切をつくしたもんじゃございませんか」
親身とみせたお粂の情けが、実はおそるべき魔薬の手管であったと、その証拠までを釘勘につきつけられて、金吾は慄然たるおののきに、そのビードロを手にとる勇気もありません。
しかもその女の策におちて、切るに切れない悪縁のちぎりまで結んでしまったとは。
なんたることだ!
身を責め、自己の迂愚をののしり、今さらその憤怨を歯ぎしりして怒り歎くといえど、なんでこの汚辱がぬぐわれましょうか、夢のように暮らしてきたこの半年のいまわしい記憶とて永劫きゆべくもありません。