Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
ですが、日本左衛門の立場から見ると、ここに金吾の来たことは、決して、偶然ではありません。
ありうることです。
いや、こう来なくッちゃあならないところだ。
かれの考えからは、金吾の複雑な心理や悩ましさなどは毛頭察し得ない。
で、瞬間。
来たなッ――という気が真ッ先に起りました。深間になった女を奪り返されて、無念まぎれに追いかけて来た命知らずよ!
いかにも金吾の眼はおそろしい敵意に燃えている。
(おのれ、お粂をやッてなろうか)
とも見られる形相。
鯉口に半身の力をこめているので、刀の鐺は後ろへ高く跳ね上がっています。そして、彼の剣勢を見、自身の体をととのえる間に、ここまで宙を駆けてきた呼吸を平調に返そうとしているふうです。
その猶予を与えまいとして、一方の白刃が、二度ほど、月に光をよじらせて挑みましたが、金吾はそれに乗っても来ず、また、つけ入ってゆく隙もない。
こいつは少し手間がかかる。
――と考えたのは日本左衛門の胸のうち。
金吾はまた金吾として、ここに立つ以上、充分なる覚悟と死に身の用意がなければならないはずです。かれには一度、真土の山の黒髪堂で、素早い当身をくらッています。