Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「訴人したらなお怨まれるだろう」
「どんな仕返しをするか知れたもンじゃない。まアまア、体よく、草鞋銭がとこで追ッ払うことさ」
「困ったなあ」
「何か来ないお禁厭はないか」
と、折角な稽古の興をさまして、なおも伊兵衛の悪口をたたいておりますと、向うの日当りのいい母屋の縁側で、
「オイオイここへ珍客様が訪ねて来ていらッしゃるのに、何をいつまで、飯粒を取ッつけ合った雛ッ子みたいに、そこで首を集めているのよ。早く、お茶でもわかして持って来ねえな」
と、ゲラゲラ笑い出した男がある。
「あれ?」
と、頓馬な声を出して、初めてうしろに気がつくと、笠を縁がわへ押ッぽり出し、紺合羽の片袖を撥ねて、きせるの雁首で無断に座敷の煙草盆を引きよせている自称珍客様。
それが今、人相書が廻ってきた本ものの道中師の伊兵衛でありました。
伊兵衛はニヤニヤ笑って、
「オイみんなの者、また厄介なやくざ者が村へ帰って来たから、何分よろしく頼むぜ。阿佐ヶ谷村なんて肥臭え土地へは、何も好んで帰りたくもねえが、生れ故郷であってみりゃしかたがねえ」
と縁側いッぱいに足を投げだして、煙草の煙を上へ吹き、
「それともおめえ達、人相書にてらして、訴える気なら何も遠慮はいらねえぜ、おれはここで日向ぼッこをしているから、今出て行った頓馬な役人に教えてやんねえ」