Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「なんでも、後見の間部詮房とお傅役の月光院様とが庭でいちゃついていて、小さな将軍様に風邪をひかしたのが、こんどの病気の因だという話だが」

「わかりもしねえ大奥の事を、あんまり見て来たようにいうない」

「いや、おれは、確かな筋から聞いているんだ」

「じゃ、こんどの将軍様が、水戸から出るか、紀州から出るか、尾張から出るか、てめえ知っているか」

「それがもめているんで、将軍様はとうに死んでいるんだが、その喪っていうやつを、世間へ触れることが出来ねえんだとよ」

「へえ」

「紀州から出すか、館林から出すか、尾張から出すか、このけんかだ」

「なるほど」

「水戸様は館林をかついでいるし、間部は紀州をかつぎ上げている。そこへまた、尾張から引ッ張り出そうとしている連中もあって、三ツ巴に、こんがらかッている」

「ありそうなこッた。だが、紀州から出るとすれば、たれだろうか」

「まず赤坂に屋敷のある吉宗公だろう」

「尾張とすると」

「万太郎様だね。年頃からいっても」

「万太郎?」

「ウム、尾張の徳川万太郎」

「聞いたようじゃねえか、万太郎ッて……」

「そういや、聞いている名だ」

「あっ……いけねえ。あいつが将軍家になぞ納まッたひにゃ、それこそ親分はじめ、おれたちの稼業が、上がッたりになってしまう」