Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「きのうも来た? ……?」
「はい」
「風采はどんな男じゃ」
「角鷹眼をした四十前後の男で、紺無地の旅合羽を着ておりました」
「そして?」
「じゃあ高麗村に行ッて見ようかと、しばらくここで考えていましたが、そのうちに、通りかかッた捕手の衆を見ると、プイと、姿を消してしまったのでびッくりして、そのお手先に聞きますと、そいつは道中師の伊兵衛とかいッて、有名な悪党だそうでございます」
「ははあ……」と、万太郎はそこでわずかに頷きました。
彼も、何か思い迷うらしい面持。
実はゆうべ、丁字風呂の二階に寝つつ、さまざま猟奇的な空想を馳せているうちに、かれは、にわかにもう一度「ばてれん口書」を手にして見たくなったのです。
そして、あの一帖の文に暗示されてある「夜光の短刀」を探し求めて、ひとつ、羅馬の都府へ渡って見ようか。
紀州の吉宗が八代の将軍になって納まッている頃に、おれは飄然と日本から影を消し、徳川万太郎は失意の結果、身を隠したのだろうと人の取沙汰する時分に、羅馬王朝の貴族となり、あわよくば異海三千里の外に壮図を挙げるのも面白かろうではないか。
こんな大望がむらむらと起ったものですから、かれの夢が、ゆうべ、あの丁字風呂の部屋を青々たる大海にし、異国の美しい市街を波のあなたに描いたのでしょう。