Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「オイ、馬春堂」

と、首をのばしている。

明り取りの小さな窓から、馬春堂馬春堂と小声で呼ぶ者があるので、かれは飛びつくようにそこへ寄って、

「オオ、たれだ」と、人恋しげに弾んで言うと、外の男は、

「しッ」

と手を振って、辺りを見廻しながら、

「おれだよ」

と、豆絞りで包んだ顔を寄せてくる。

「やッ、伊兵衛じゃないか」

「どうしたえ、先生」

「ウーム、来てくれたか。伊、伊兵衛、来てくれたのか……」

と馬春堂は茫然となった後に、地獄で仏、感極まったもののように、水やらはなやらポロポロとこぼし、

「どうもこうもない、一刻も早くこの死地を逃げ出さなければならないところだ。早く、おれをここから助け出す工夫をしてくれ」

と、拝まんばかりの哀訴です。

その態を眺めると、ふだんはドジだの半間だのと馬春堂を道具に使っている道中師の伊兵衛も、少し哀れを感じたように、

「あわてちゃいけねえ、おれがここへはいり込んだからには、屹度、どうにかして連れ出してやるから、気を落着けて、狛家の召使いなどに覚られねえように、わざと、神妙に作っているのが肝腎だぜ」

「有難う、有難う、じゃ矢っ張りおれの安否を気遣って来てくれたのか。