Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「でも」
「まあ、そこに掛けていなさい」
「べつに御用事もないふうですから、とにかくちょッとあちらで」
「いや、用事がないどころじゃない。あればこそ、わざわざ人を遠ざけて、ここにお前を呼んだのだが……」
「はあ、何か?」
「ウム、これを読んでみい」
と、千蛾老人はふところから一冊の古びた綴本を卓の上へさし向けて、
「先頃、かの洞白の仮面と一緒に、こういう思いがけないものを手に入れた。……どうじゃ久米之丞おまえはこれを何と見る?」
「ははあ? ……」
と、久米之丞は渋々ながら浮腰をおろして、初めはお役目に一、二枚拾い読みしておりましたが、いつか、その中の奇怪な文字の魅惑に、われを忘れて引きこまれてゆく顔つき。
それは洞白の仮面と一緒に、千蛾老人の手へ渡った、かの「御刑罪ばてれん口書」の古冊です。
「ウウム……」と久米之丞、初めは渋々でしたが、深く読み入ると、いつまでも手から放そうともせず、
「御隠家様!」
と妙に力を入れ込んで、
「一体かようなものが、どうして世上にあるのか、これはどうも、実に不思議千万で」
「どうじゃ、お前も意外に驚いたであろう」
「これによって祭しますと、慶長以来より、御当家数代の方がかかッて尋ねている、羅馬国の短刀をほかにも探している者が数多あると相見えますな。