Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「え、向う河岸へ?」

「ウム、うまくいって、此家の鮎舟を借りてくれねえか」

「それや造作もねえが、一体、今夜何があるんだ」

「まあ、一緒に来て見ればわかる」

女中をよんで舟の支度を頼み、それへわざと酒さかなを運ばせて、茶屋へは酔後の遊船らしく見せかけ、九兵衛が竿を取って相模川を少し下流へくだってゆく。

と、――向う岸の火繩もそれに尾いて歩き出し、やがて四、五町も来たかと思うと、クルクルと暗に渦を描いて、また何かの合図を送って来ます。

「ここだ、止めてくれ」

と、金右衛門と日本左衛門はヒラリと川洲へ飛び上がる。

九兵衛も鮎舟の綱を蛇籠にからげて、二人の影を追いました。

そして三人が、千鳥のように川洲を飛んで、向うの岸へ駆け上がッた頃です。何ぞ知らん、後に捨て残された小船のなかに、まだもう一人の人影がうごめいている。

鮎舟の一隅に積みかさねてあった苫を撥ねのけて、三人のあとを見送りながら、舳に立った若者。

虚無僧にしては天蓋を持たず、六部にしては笈を背負っておりません。白の脚絆手甲に白木の杖、その身ごしらえから察しますに、この辺りでは珍しからぬ旅人、石尊詣りの行きか帰りの大山行者でありましょう。