Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
書斎、薬室、寝間、すべてを兼ねた玄堂の居間とみえる奥の一間に、徳川万太郎はそこの机や薬研と雑居して、今しも一面の鏡をすえ、
「ウム、これは少し、鈍刀だな」
剃刀を持って、あごの辺を剃り上げている。
その傍らに、ちょこなんと、畏まっているのは高麗村の次郎。
「おじさん、襟を剃ってやろうか」
「などといって、お前は、剃刀を持ったことがあるのか」
「ばかにしちゃいけないぜ、狛家にいた時分は、いつでも、おいらがお嬢様の襟足を剃ってやったんだ」
「そうか、じゃひとつ、腕前をふるって見せてもらおうか」
「よし、やってやろう」
と、次郎は小脇差の下げ緒を解いて、肩から袖を斜にむすぶ。
「なかなか形がいい、その構えなら剃れるだろう」
「おじさん、動いちゃいけないよ」
と、自分の指に唾をつけて襟足へぬりつけ、彼の頭を唐瓜のようにつかみましたから、万太郎も恐れ入って、
「これ、次郎」
「へ」
「なんで襟をぬらしているのだ」
「つばで」
「きたない! その鉄瓶に湯があるだろう」
「もうありません。あ、それではあそこの水を」
と、湯呑みを持って行って縁先から、手洗鉢の水をすくってくる。
「懸人は不自由じゃのう」