Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「睨まないで下さい、お父さん。……だって私は混血児ですもの、ころびばてれんの娘ですもの! 十九の年まで広い世の中を知らずに来た女ですもの! ……どうして夜光の短刀を探し得ましょう。無理です、無理というものです。――それなら、なぜ死なぬかと仰っしゃいますか。早く亡父の所へ来いとお呼びなさいますか。……ああ、私にはそれも出来ません……。お蝶は死ぬのも嫌なんです。どんな思いをしても生きられるだけ生きつづけたい」
夜は一足ごとに深まります。
聞く人もないと思うもの故、遂には、思わず、独りごとの声に出て、歩みつ仰ぎつ、髪そよがせた般若がヨヨと泣くのでありました。口を裂いた般若が四方の暗に訴えるのでありました。
しかし。
たれが彼女の泣き声に答えましょう。たれが彼女の訴えに正しい裁きを聞かせましょう。
風と足。
天地はそれあるばかりです。
般若は悄然とうなだれました。世に生きとし生ける者のなかに、孤寂! 真実の独りぼッちである、お蝶というあわれな混血児の姿を、吾と姿とのけじめを忘れて、暫く見つめているふうです。
シュクッ、シュクッ……と般若が泣く。
仮面の裏は濡れています。